セクシーなバーガー広告を断行したCKEレストランCEOに聞く

記事 ジュリー・ベネット

まずは下の写真をご覧いただきたい。実際はTVコマーシャル。ここでは写真なのでインパクトは弱くなるが、雰囲気は理解していただけるのではないか。

テレビコマーシャルの迫力をお伝えできないのが残念。全米でセンセーショナルな反響を呼んだ。

パリス・ヒルトンとパドマ・ラクシミの両モデルが「熱心」にバーガーを食べるシーン


今年、全米で注目を浴びたバーガーのセクシー広告であった。競合バーガーチェーンがこぞって家族に売り込むマーケティングをやっていた頃、アンドリュー・プザーは若者に絞り込む戦略を選んだ。では、若者に一番アピールするものは何か?若くてセクシーな女の子である。他競合が同じ川で魚を捕獲していたとき、青い海を選択した。ブルーオーシャン戦略の始まりであった。

誰も試食品に手を出さない試食会

CKEレストランによる試食会の招待で、「シカゴビジネス&飲食&フランチャイズプレス」のレポーターがトレンディーなピアノバーに赴いたのは今年の8月だった。到着してみて驚いた。無料で試供されるバーガーやビールに手をつける招待客はほとんどおらず、全員がノートパソコンのスクリーンに釘付けだったからだ。画面には有名ファッションモデル「パドマ・ラクシミ」が扇情的な様子でカールスジュニアのチーズバーガーを食べており、滴り落ちそうなソースを舐め取るシーンが映っていた。「してやったり」とアンドリュー・プザー(CKEレストランのCEO)が後ろでニンマリしていた。

全米6位のバーガーチェーンが広告で全米トップに躍り出た

カリフォルニア州の本部を置くCKEレストランはカールスジュニアのチェーン数1,205店舗、老舗バーガーチェーンのハーディーズ1,915店舗を展開する全米6位にランクする巨大チェーンである。しかし、「官能的な広告」カテゴリで全米NO1となり、膨大な宣伝効果を得ることとなった。カールスジュニアは最も保守的な飲食チェーンとして知られていたので、前述のセクシー広告は加盟店も含め、関係者全員の度肝を抜くものであった。ユーチューブでも繰り返しダンロードされ、同チェーンの大きな成功の原動力となった。

CKEチェーンのCEOは弁護士だった

創立者のカール・カーチャーの運命が狂い始めたのは1980年代の半ば、新規フランチャイズを3つスタートし、全て失敗してからであった。おまけにインサイダー取引の容疑で株主から訴訟されてしまった。カール。カーチャーの顧問弁護士としてプザー氏が登場するのはこの時からだった。

「1991年の春頃、カールの相談を受けたのです。当人は140億円くらいの財産があると考えていたのですが、私が調べた結果ほぼ破産状態でした」とブザーCEOは当時を振り返る。この時点からブザー氏とCKEチェーンの深い関わりが始まった。


大西洋のビーチを背景に写るブザーCEOは敬虔なカソリック信者だという


当時の店舗売上と過重な労働


1993年前後の頃、カールスジュニア1店舗の平均年間売上は約1億5千万円、ハーディーズは7千万円程度だった。しかも、ハーディーズは朝食のシェアが大きかったので、朝から晩まで死ぬほど働かなくてはならなかった。プザー氏はオペレーションでその事実を肌で実感した。ハーディーズのメニューから40項目を直ちに削除した。

手つかずの市場が未だ残っていた

ハンバーガーのお得意客に該当するのは18歳から34歳までの食欲旺盛な男性たちだが、ハーディーズ全体の客層の7%に過ぎなかった。ひねったユーモアセンスと魅力的な女性を使った広告で男性客のハートを鷲掴みにする戦略がアドエージェンシーから提案された。ビール会社のような広告をバーガーチェーンでも実行すべきだと言う。マクドナルドとバーガーキングは子供市場を独占していた。しかし、クールでセクシーな大人がバーガーを楽しむマーケットは手つかずで残っていたのである。

マクドナルドに負けない戦略路線を選ぶ

「ホットチック」、つまり若い女の子を使ってセクシーな広告を打ちだすことについて、敬虔なカソリック信者のプザーCEOにためらいはなかった。「アメリカ国内だけでマクドナルドは14,000ロケーションです。この巨大チェーンと直接競合していかなくてはならないのです。何としても若者の心を捉える必要がありました」とインタビューに答えている。

ビジョン

プザー元弁護士がCKEの最高責任者に就任してから何が変わったか。カールスジュニアは平均売上1億5千万円と変化していないが、ハーディーズは大きく30%増大し、1億円を越えた。海外への出店を増やしており、現在の海外店舗は14カ国で325ロケーションだ。2014年までに国内加盟店を300、直営店を70増やす目標である。海外ロケーションもさらに50店舗拡大するプランだ。

そして、それらを実現するために「もっと刺激的な広告」をCKEレストランチェーンが打ち出していくことは間違いないだろう。