(引用:2009/05/29 日本経済新聞 朝刊 39ページ)
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンがフランチャイズチェーン(FC)加盟店への優位な立場を利用し消費期限の近づいた弁当などの値引き販売を不当に制限したとされる問題で、公正取引委員会は二十八日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)を認定して同社に排除措置命令を出す方針を固めたもようだ。
同社の弁明を聞くため、公取委は来週にもこうした処分の方針をまとめた案を事前通知するとみられる。命令が正式に出ればコンビニ各店の値引き販売を制限することは許されず、全国一律的な価格を維持してきた業界全体の「慣行」に大きな影響を与えそうだ。
関係者によると、同社本部はFC加盟店が仕入れた商品について「推奨価格」を提示。消費期限の近づいた弁当や総菜を値引いて売る「見切り販売」をしようとした加盟店に対し「値引きをしないように」などと指導し、制限した疑いが持たれている。
FC加盟店は同社本部からチェーンの商標の使用や営業指導を受ける見返りとして、売上高から売上商品の原価を差し引いた粗利益に一定の割合をかけて算出したロイヤルティーを払う契約を結んでいる。
売れ残って廃棄した商品については、FC加盟店側が原価を全額負担する仕組み。不利益を抑えるため見切り販売に踏み切ろうとした加盟店もあったが、公取委の聞き取り調査に対し、複数の加盟店が「契約を打ち切られるのを恐れてできなかった」などと証言したもようだ。
公取委は二〇〇二年四月に本部と加盟店の間の取引を巡るフランチャイズ・ガイドラインを改定。優越的地位の乱用の違反にあたる行為として「品質が急速に低下する商品などの見切り販売を制限し売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせること」を明記し、業界側に順守を求めていた。公取委は昨年十月に同社に対する立ち入り検査を行い、調査を進めていた。
※優越的地位の乱用・・独占禁止法が公正な競争を阻害する恐れがあるとして禁じる「不公正な取引方法」の行為の一つ。取引上の地位が相手方に対して優位にある立場を利用し、相手方に不利となる取引条件の設定や、商品の押しつけ販売、手伝い店員の派遣要求、買いたたきなどを行うこと。
▼▼▼ フランチャイズタイムズの視点(記事コメント)
セブンイレブンが加盟店に対して課している「見切り販売禁止」につき、公正取引委員会が排除命令を出すもようだ。これは、一見すると「本部が加盟店に対して販売価格を制限するのは法律違反である」と解釈できる。従って、他のフランチャイズチェーンにおいても同様の動きが出てくるのではないかという意見もある。
つまり、商品やサービスの価格は加盟店が本部に許可を得ることなく、自由に決定できるのではないかということだ。しかし、今回の排除命令はあくまでコンビニのロスチャージ問題の裏返しであると捉えるべきで、通常のフランチャイズチェーンに対しては適用されないと判断したほうがよい。
コンビニエンスストアのロイヤリティは、売上から原価を差引いた「売上総利益」を基本に算出している場合が多く加えて、売れ残りの廃棄ロスについては原価ではないというルールがある(これがいわゆるロスチャージ)。
そのため、加盟店は見切り商品を廃棄した場合に二重の負担(見切り商品の廃棄ロス及びそれに対するロイヤルティ徴収)を強いられている。公正取引委員会は「コンビニがこのようなロイヤルティの算定方法を維持するならば、少なくとも廃棄ロスを減らす裁量権(見切り販売の自由化)を加盟店に与えるべきである」と考えておりそうした観点から今回の排除命令を出すようである。
一方で、飲食フランチャイズなどでは「売上」を算定基準にしている場合がほとんどであるため廃棄ロスの発生有無でロイヤリティの金額が変動することはない。それゆえに、今回の決定が他業態に及ぶことはまずないと考えれられる。
この問題について、コンビニエンス本部は見切り販売を制限している理由を「食中毒の防止」「見切り時間がくるまでの消費者の買い控え」などをあげている模様である。しかし、食品スーパーでは既に見切り販売は常態となっており、そうした論拠は説得力が弱いように思える。
今回の決定による本部・加盟店双方への影響は今の段階では明らかではないが、見切り販売をする店舗が現れるのは時間の問題で、今後より波紋が大きくなることは間違いないといえるだろう。

















